お魚は今日も泳ぐ

お魚は空を飛ばないしお話もしない

詩作

夜明け前の秘密

爪先立ちの原石暗闇から手を伸ばす怪物怠け者のシュプレヒコールベッドサイドの赤ワイン小さな身体と静かな背徳二人だけの秘密だと落された快楽狂った果実は苦味が強い狂気はオトナの形をしている 夜の怪物によって差し出された子どもに内緒の時間は余りにも…

真昼のスピカ

世界の終わりに見えた夢 9.8の真っ青天使 ハロー、ハロー リ・バースする星の子 鯨の歌声が聞こえる 彗星核の涙 君と僕の間の反引力 約3℃の静かな闇 超重力のワルツ 反芻する君の笑顔 止まった時のその先へ 深海から見た青い星 朝焼けと一番星 僕らきっと宇…

ぼくのあいしたあおいほし

或いは、生存戦略にすら勝てなかった愚か者/宇宙規模の革命戦争と孤立無援の引きこもり勇者/表に立てなかった英雄と首を吊った独裁者/ワープアンドワープの実情と頭の弱い被験者/拝啓、あの頃のぼくら/情弱な大人とロマンチストな子供/さらば、死に逝く青い…

ピーターパン・シンドローム

狭い部屋が居場所だった 一人遊びはお手のもの ワンダーランド、置いていかないで かくれんぼは嫌いだ。「もういいかい」「もういいよ」夏の夕暮れは随分と遅い。「もういいよ」日がすっかり傾いて、気温が下がってもずっと。「……もういいよ」一人遊びは得意だったけ…

忘却

貴殿、のその首の切り口を 観衆に晒したまえよ なあ聞こえるか? 叫び声に秘められたその歓声 醜く朽ち果てる傷口は 完全なる整合のとれた世界への入口なのさ さあ笑えよ皆の衆 今ここに新たなる王国は完成した 愚かな王に導かれ消えていく王国が 王都に集え…

永久を願うから孤独になるのだ

飛び降りた世界に別れを告げて 輪の中には入れない 終わりを信じたくなかった 寝違えた夢とイミプラミン がらんどうの箱に吐き出す恨み 虚ろな目とモルヒネ 烏の子どもは帰れない ラッパ吹きの一人劇場 国家転覆を図って 毒の入った銀の皿を叩きつける 苦痛…